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- 治療について - 乳歯の特殊性

乳歯の特殊性

乳歯の虫歯ですが「発見して少し放置しておいたら、アッと言う間に穴が開いた」と来院されるお子様がかなりいらっしゃいます。
それはどうしてでしょうか?初期むし歯の状態で発見できれば、フッ素塗布により再石灰化を促す方法やサホライド塗布で対応できますし、たとえ歯を削る場合でも小さく切削して治療することができ、お子さまに負担のかからない治療方法が選択できます。

なぜ、乳歯のむし歯は、早く進行すると感じるのでしょうか?
理由をいくつかあげてみましょう。

1、虫歯に色が付きにくいので、発見が遅れる

永久歯の虫歯は、何となく黒くなると皆さんご存じかと思います。
しかし、乳歯はどうでしょうか?
実は、乳歯の虫歯はそれほど黒くならないのです。

こちらは、3歳のお子さんの奥歯です。
普通に見た場合、むし歯は無さそうに見えますが、マイクロスコープで発見し、レントゲン撮影を行い治療をした症例です。

幼稚園・保育園・学校の歯科検診がありますが、それは視診のみでレントゲンを撮りませんので、こういった小さな初期段階の虫歯を検出することは、ほぼ不可能です。

福島の原発事故以来、日本人が放射線に対し敏感になっており、当院でもレントゲンの被爆に関するご質問が多く、中には撮りたくないと言う人もいるのが現状です。

中には歯医者が儲かる為にレントゲンを撮ると言われる父兄や、予防できてるのに何でレントゲンを撮るんだ!、なんて言われたこともあります。別にレントゲンで儲かりませんし、小さな子どもさんのレントゲン撮るって大変な事なんです。。。

ここまで虫歯が進行すると黒くわかりやすいですが、

2、虫歯が出来る場所の多くが歯の間

一般的に虫歯が出来やすい部分は3箇所あります。
一つは咬む面の溝、もう一つは歯茎との境目、そしてもう一つは歯と歯の間です。 これらの前者2つは注意をして見ていれば、色の変化は少ないながら判る場合が多いです。 また、最近はフッ素入り歯磨きの普及でこの前者2つに発生する虫歯もかなり抑えられてきました。

問題は3つ目、乳歯の奥歯の間です。
ここは、虫歯を真上から見ても色が付いていないので、ほぼ見えないと言えます。 乳歯の場合、永久歯に比べ歯の高さが低いので、虫歯は歯の内部に向かって進みやすいのです。

3、乳歯の歯の構造の問題

乳歯は、生後半年で生えてきます。
歯は生えてから根を作るとは言え、口の中に露出する歯冠部は完成させて生えてきます。 どう考えても乳歯が作られる期間は1年半程度しか無いのです。それに比べ、永久歯の歯冠部の作製期間は6年程度です。 つまり、乳歯は永久歯に比べ4分の1ほどの期間でつくられます。
乳歯のエナメル質の厚さは永久歯よりも遥かに薄く、酸に対する耐性も弱いです。
ですから、乳歯を永久歯と同じように考えてはならないのです。
つまり、乳歯は親の口の中にある歯と同じではない、と言うことです。

4、口の中の容積の問題

お子様をお持ちの親御さんの中には、3~4歳でも大人と同じような食べ物をバリバリ食べるのに驚いた方も多くいらっしゃると思います。 しかし、子供の口の中の容積は、大人に比べ全然小さいのです。
3歳児程度ですと、やはり平均的な大人の1/3程度しかありません。
歯の数も大人は28本有りサイズも大きいですが、子供の歯の数は20本。
しかも歯のサイズは大人よりも小さいです。
それなのに、大人と同じように食事をします。
そんな状態で、乳歯の奥歯の間に虫歯が有ったらどうなるでしょう?
咬む面からの圧力で、虫歯の上部の歯が欠けるのです。
それで、アッと言う間に虫歯が出来たように感じるのです。

5、食生活の問題

お子様の歯の健康には、兄弟の存在も大きく影響します。
長男、・長女はあまり問題はないですが、次男・次女の様に上に兄弟がいる場合は甘い物に触れる機会が早まりますので、下のお子様の方に虫歯が多い傾向が有ります。

また、おじいちゃん、おばあちゃんが家にいるお子様は少々注意が必要です。
おじいちゃんやおばあちゃんにとって、お孫さんがもらったお菓子を美味しそうに食べるその姿は可愛らしいので、ついついお菓子をあげてしまいがちですが、実はこれが虫歯になりやすい環境とも言えるのです。

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