歯科用CT(コーンビームCT)
歯科診療を行っていく上で、無くてはならない装置として、歯科用CTがあります。医科のCTとはレントゲンの照射方式が違うことから、コーンビームCT(CBCT)と言われる場合もあります。
歯科用CTは、2010年代より普及し始めました。2014年の普及率は約10%程度でしたが、現在ではさらに普及が進んでいます。
2011年より歯科用のCTは保険適応されました。CTの費用は3割負担で3,500円程度です。
通常レントゲンとCTの違い
ここにカマボコがあります。この中にゴマ粒がひとつあると思ってください。通常のレントゲンは、このカマボコに強力なライトを当てて、その影絵を壁に映して見ています。
この場合、ゴマが一粒だと良いのですが、ゴマが沢山あった場合は、重なってしまって本来の姿には見えません。
CTの場合は、どうでしょうか。この場合は影絵ではありません。実際に包丁を持ってきて切った部分が見えるのです。おまけに、包丁の方向は1方向ではなく、同時にあと2方向にも切ることができるのです。
CTは3方向に切った断面を見ることができる、つまり立体としてとらえることができるのです。特に一番左の、普通に切ったカマボコの中のゴマを見られるのが歯科医療にとっては画期的なのです。通常の影絵の今までのレントゲンでは前後の歯や頭蓋骨が邪魔をして絶対に見ることができなかった映像だからです。
それでは、実際の例でCTの凄さをお見せします。
通常レントゲン
CT断面画像
(症例:35歳 女性 歯茎が腫れた)私の診療所に来る前に、根管治療の専門医を受診。根管治療で治ると言われたそうです。でも腫れが酷いので当院来院。
通常のレントゲン撮影をしたのが左の写真です。この段階では、冠が上手く外せたら根管治療で治る範囲と判断。でも、腫れが酷い。そこでCT撮影。
CTでは仮想的に左のレントゲン写真を包丁で切って横から眺めることができます。
何と、大きい空洞が見えるではありませんか。ただ、周囲の骨は残っています。だから通常のレントゲンでは影絵ですので、あまり黒く映らなかったわけです。
当然CTはどの方向からも見ることができます。この程度の根尖病変でも根管治療で治せる可能性がありますが、治るパーセンテージは自ずと下がる可能性があります。よって、この画像を見ているのと、見ていないのでは、患者さんへの説明も変わってくるのです。
CT(コーンビームCT)が役に立つ治療場面
- インプラントに際して:骨の厚みやインプラントの方向が立体的にわかる。
- 根管治療:上記のような根尖病変の状態確認。
- 歯周病の治療:骨の減り具合が立体的にわかります。
- 親知らずの抜歯:周囲の神経と接している度合いが立体的にわかります。
- 骨の中の疾患:上下顎の骨の中にある疾患を立体的に理解するため。
- 顎の関節疾患:骨の変形具合を見ます。
- 矯正前の歯の状態:立体的に歯の形を見ておきます。
- 埋伏歯の状態:骨の中にある歯(埋伏歯)の立体的な位置関係の把握。
