小児歯科とレントゲン
なんでそうなってしまうのでしょうか?
それはズバリ、永久歯の虫歯は黒っぽく見えますが、乳歯の虫歯は殆ど黒くならないからです。
要するに、透けて黒く見えにくいからです。
また、乳歯は永久歯よりも歯として作られる期間が圧倒的に短いのです。
永久歯は6年間位かけて作られるのに対して、乳歯が作られる期間は2~3年間程度です。
よって、歯の性質として、乳歯は永久歯より劣ってしまいます。
つまり、乳歯は虫歯になると進行速度が早く、アッと言う間に崩壊してしまうのです。
そうならない為に威力を発揮するのが、レントゲン写真です。
歯の間にできた虫歯なら、目で見えないものもかなりの高率で発見する事ができます。
永久歯は、逆にレントゲン写真でも判別しにくい場合も多いですが、乳歯は永久歯よりも硬くないので、レントゲン写真でははっきり写る場合が多いです(図参照)。
乳歯の歯列はアルファベットで表記します。
前歯から両側に、A,B,C,D,Eで、Eが一番奥の歯です。
このDとEの間にできてしまう虫歯ですが、乳歯が全て生え揃った3歳頃から出来始めます。
どこか1箇所でもDとEの間に虫歯があれば、ほかの箇所も程度の差こそあれ虫歯がある事が多いです。
また、地面からも放射線は常に出ていますし、航空機に乗った場合は地上よりも多く被曝すると言われています。 歯科のレントゲンによる被爆量は、温泉地帯に行った時に1日で受ける被曝量以下だと推定されます。
当院でのレントゲンはデジタルカメラと同様にデジタル化をされていますので、昔ながらの現像をしている歯科医院に比べれば被曝量は5分の1程度と言われています。
このデジタルのレントゲンは「CCD方式」と「イメージングプレート方式」があり、CCD方式はデジタルカメラと同じで、瞬時に映像を得ることができます。ただレントゲンを受け取るセンサーにコードが付いており、厚みが有りますのでお子様の小さい口には不向きです。なので、お子様のレントゲン撮影にはイメージングプレートと言うコードの無いデジタル用のフィルムを使います。
レントゲンを撮影するのもかなり大変
そして、何回か来院をしてもらってやっとレントゲン室に入れても、撮影するには口の中にフィルムを入れて、1秒程度静止してもらわなければなりません。
それも上下・左右です。
口の中にフィルムを入れてスタッフが軽く押さえますが、手で振り払ってしまうお子様も多く、嘔吐をしてしまう事もあります。
歯科医院に定期検診に行っているのに、歯に大きな穴が開く。
それを防ぐためには、レントゲン撮影をして歯の間を見ておく必要が有ります。
それには、お子様がリラックスできる環境の施設で、お子様の対応に熟練したスタッフがレントゲン撮影を行う必要が有るのです。
3歳児の歯の間のレントゲン写真
もう既に、乳歯の奥歯の間に虫歯が有ります。
このまま放置すれば、あと半年程度で穴が開きます。
目で見て大きな穴が開いてしまいますと、乳歯冠と言う金属冠(銀歯)の適応となる事が多いです。 Dの歯は小学校3年生(9歳)、Eは小学校6年生(12歳)頃に生え変わりますので、これらの歯は少なくともあと5年は使わなければなりません。