白い樹脂の治療ではダメなのですか?
白い樹脂は大きい虫歯には適しません
小さい虫歯の場合はもちろん、白い樹脂(コンポジットレジン)でOKです。
しかし、大きい虫歯には適しません。 なぜならば、子供の咬む力は想像以上に強く、また、永久歯に比べて奥歯の歯の数が少ないので、集中して力がかかります。白い樹脂の方が見栄えが良いです。
ところが、
治療した歯がしょっちゅう欠けて、いつも歯医者通いをしていませんか?
最初のうちは、樹脂が欠けただけのものが、何回も治療?を受けている間に、どんどんボロボロになって、
歯の中の神経(歯髄)を除去せざるを得ない状態になってしまいます。歯髄を取った乳歯は、更にもろくなり、それでも乳歯冠を使わないで、白い樹脂を詰める治療を続けてしまいますと、今度は、
残根と言う歯の咬む部分が無くなった根だけの状態を作りだします。
残根になりますと、今度は咬み合わせの変化が起こってきます。
残根の後ろの歯は前に移動すると共に、咬みあわせが低くなります。
すると、顎の回転も生じさせて、さらに歯並びが悪くなる原因を歯科医師が作ってしまうことになります。
よって、乳歯の形を生えかわりまで保持する事は非常に大切になってきます。
大きな虫歯を作ってしまった場合に、こういった状況を防ぐには今のところ乳歯冠にせざるを得ないのが現状です。
金属ですから、アレルギーはありますか?
白い樹脂は大きい虫歯には適しません
無視できる程度と思われます。
万人に対してアレルギーが存在しない物体はほとんどありません。この乳歯冠については、私たち敬友会の診療所では25年間使い続けております。しかし、アレルギーのような症状が出た事は一度もありません。恐らく、金属が溶け出す様な事が、ほとんどないのだと思います。当然ですが、日本の厚生労働省、アメリカの厚生省に当たる、米国食品医薬品局から子供に対する使用が認可されています。
金属といえば、金属アレルギーと結び付けて考える方もいらっしゃると思いますが、この乳歯冠に含まれている3つの金属は、鉄やニッケル、クロムも人間の体には必須の金属と考えられています。
これらの必須金属についてもアレルギーを起こしてしまう人が居るのは実に不思議ですね。
白い樹脂(レジン)には、アレルギーが無いか?矯正に使われる入れ歯の様な器具の樹脂にアレルギーが無いか?というと、実は、あり得ます。
ただし、これも無視出来る程度なために使われているのです。
通常、大人の治療で行っているような型をとって作ることはなぜしないのですか?
型を取る治療の危険性と、型を取ってできる冠の性質が乳歯には合わないのです。
泣いているお子様に、型を取るような治療を行いますと、型を取るドロドロの材料を気管に吸い込み、肺の中に入ります。大量に入り込むと当然窒息の危険がありますが、
少量でも慢性炎症の原因になる事が文献により報告されています。
よって通常は型を取る事はいたしません。 それでは泣かないお子様の場合は、白い冠を作る事はできるのでしょうか?答えは出来ます。ジルコニア等の被せ物を使えば審美的には非常に満足をする冠ができます。 しかし、ここで大きな問題があります。乳歯は永久歯の様な、歯の高さが無いために、被せ物を歯に維持する、つまりしっかり接着させる事が出来ません。
よって、
自費診療でジルコニアの冠を作ったとしても早期に脱落する事が簡単に予想できます。
また、この様な白いセラミックスの材料は、乳歯冠よりは冠の厚みが必要になってきます。 乳歯の場合、それだけの厚みを出すために歯を削りますと、歯の中の神経を露出させてしまう危険性があり、余計な治療?をする必要があるのです。 型をとって作ったりして作った冠と違って、乳歯冠はウエストに当る部分に弾力性が有る素材を使用している為に歯をしっかりと保持します。つまり、装着する時に力をかけると、冠が少し広がり歯に嵌りこみます。それによって外れにくいのです。
治療した乳歯が欠けたり、詰め物が外れるとどうなるの?
永久歯の歯並びを悪くする原因になります。
歯は、乳歯も永久歯も、必ず!!前の歯に寄りかかっているのです。つまり寄りかっていた前の歯が抜けてしまった場合は、必ず!その抜けてしまった部分へ前方移動が起こります。絶対に、その場所に留まっている事はないのです。乳歯の場合は、この移動は顕著です。数日で1ミリ程度は動いてしまいます。この移動は、乳歯の奥歯の前後が欠ける事でも直ぐに起こります。
よって乳歯が欠けてしまった場合、すぐに治療をする必要があるのです。 その点、乳歯冠は長年の使用により、咬む面に穴が開くことは有りますが、歯と歯が隣接する部分が破壊する事は一切ありません。これが最大の特徴なのです。つまり再治療が非常に少なくて済みます。
乳歯の奥歯が動いて、前に移動するとどうなるの?
永久歯の歯並びを悪くする原因になります。
乳歯の奥歯が崩壊すると、それに寄りかかっていた、6歳臼歯も前に移動してしまいます。
そして、12歳頃になり、乳歯の奥歯が永久歯に生え変わる時には、その歯が下から生える場所がなくなっていることが多いのです。 そうなると八重歯になってしまうようなことがあります。つまり外れない冠で治療するのは、将来の永久歯の歯並びを守る事に直結するのです。
ですから、
治療をした奥歯が欠けない様にするのが非常に大事で大きな虫歯の治療には乳歯冠を用いることが多いのです。
乳歯冠を被せた歯は、普通と同じ様な生え変わりをするのですか
神経をとっていなければ、通常の歯と同じ生え替わりです。
小学生の間に、ほとんどの乳歯冠は、通常の歯と同じように生え替わります。
しかし、神経をとった歯の場合は、通常よりも、1年半弱早く生え替わることが報告されています。