お口がポカンと開いてしまう
「うちの子、気がつくといつも口が開いているんです」。診療室でよくうかがうご相談です。
まず、数字からお伝えします。
日本の子どもの30.7%にみられます
新潟大学・大垣女子短期大学・鹿児島大学の研究グループが、全国66の小児歯科に通う3歳から12歳の3,399人を調べました。その結果、30.7%のお子さまに、日常的にお口が開いている状態(専門用語で「口唇閉鎖不全」といいます)がみられました。
年齢が上がるほど増えていきます。
- 3歳 約19%
- 12歳 約39.7%
地域による差はありませんでした。
つまり、およそ3人に1人です。珍しいことではありません。保護者の方の育て方の問題でもありません。
なぜ、口が開いてしまうのか
理由はひとつではありません。重なっていることもよくあります。
- 鼻がつまっている アレルギー性鼻炎、アデノイドや扁桃の肥大など。鼻で息がしにくければ、口で息をするしかありません
- 唇を閉じる力が育っていない 口のまわりの筋肉の問題です
- 舌の位置が下がっている 本来、舌は上あごに付いています
- 指しゃぶりなどの癖
鼻の問題が隠れていることがあります。 その場合は歯科だけで何とかしようとせず、耳鼻咽喉科と一緒に診ていきます。
開いたままだと、何が起きるのか
歯の位置は、内側から押す舌の力と、外側から押さえる唇や頬の力の釣り合いで決まっています。歯は、その力が釣り合うところに落ち着きます。
口が開いていると、この釣り合いが崩れます。
- 外側から押さえる唇の力が働かない → 前歯が前に出やすくなります
- 舌が上あごに付かず下がったままになる → 上あごが横に広がりにくくなります
さきほどの全国調査でも、お口ポカンのお子さまには「上の前歯が前に傾く」「上の奥歯の幅が狭くなる」といった特徴が報告されています。
歯並びの重要性のページに書いたとおり、歯並びには生まれつきの要素もあります。ただ、その素因の上に毎日の癖が重なると、影響が大きく出ます。 お口ポカンは、毎日・何時間も続く癖です。
もうひとつあります。口が開いているとお口の中が乾きます。 唾液は、溶けかけた歯を元に戻したり、細菌を洗い流したりする働きをしています。乾けばその力が落ちますから、むし歯や歯ぐきの炎症が起こりやすくなります。
ご家庭でできること
合言葉は「舌は上。口は閉じて、鼻で息を」です。
- 舌の先を、上の前歯の少し後ろ(スポット)に付ける ここが舌の本来の位置です
- よく噛んで食べる 噛むことが口のまわりの筋肉を育てます
- 口を閉じて、鼻で呼吸する
ただ、ひとつだけお願いがあります。「口を閉じなさい」と叱るだけでは、続きません。 鼻がつまっていて閉じられないお子さまもいます。できないことを叱られるのは、お子さまにとってつらいことです。
気になったら、一度ご相談ください
お口ポカンや、食べ方・話し方が気になる状態は、「口腔機能発達不全症」として診ることができます。18歳未満であれば保険の範囲で診られます。
何が原因で開いているのか(鼻なのか、口のまわりの筋肉なのか、舌の位置なのか)によって、やることが変わります。まずはそこを見極めるところからです。
くわしくは口腔機能発達不全症のページをご覧ください。顎の幅を広げるプレ矯正(マウスピース)が向いているお子さまもいます。
ご予約はネットとLINEから24時間お取りいただけます。
このコラムで参考にした資料
- 日本の子どもの口唇閉鎖不全の有病率 30.7%(全国66施設・3〜12歳 3,399人)。Prevalence of an incompetent lip seal during growth periods throughout Japan: a large-scale, survey-based, cross-sectional study(Environmental Health and Preventive Medicine 26巻11号・2021年。新潟大学/大垣女子短期大学/鹿児島大学)