非抜歯 矯正の概念

このところ、ここ都筑キッズデンタルランドで診療をしていると「専門医で矯正治療を始めるので、小臼歯の抜歯をしてほしい」と依頼される事が多いのです。
小臼歯とはどこかと言うと、犬歯と奥歯の大臼歯に挟まれた歯です。
第一小臼歯と第二小臼歯が有ります。そのうちの第一小臼歯を矯正治療の都合で抜歯をする場合が有るのです。
何のために抜歯をするかと言えば、歯を並べるスペースを作るためです。
私どもでも矯正治療を行っておりますが、その視点から見ると、何故この程度の矯正で小臼歯を抜歯しなければならないのかと思う事が多々あります。
私も矯正治療は25年程、行っています。
そして初期のうちはその第一小臼歯の抜歯を行ってきましたので、偉そうな事は言えません。
しかし、成長発達の後押しをしてあげる治療や、ゴムメタルと言う豊田中央研究所で開発された金属製のワイヤーを正しく使う事により、小臼歯を抜歯する必要が相当数なくなりました。
それは、どうしてでしょうか?
通常の矯正治療の場合「レベリング」と言う、歯にワイヤーを取り付けて形状記憶合金で並べる事を行います。こうしますと奥歯の根の方が体積が大きく、奥歯が踏ん張ります。 そのため前歯は更に前方に移動させられます。
これが口元を悪くしてしまうので、小臼歯抜歯の根拠となってしまうのです。
それではゴムメタルを正しく使うとどうでしょうか。
通常のレベリングに用いる様なニッケルチタン製のワイヤーは、歯科医師が意図するように曲げる事が出来ません。しかし、ゴムメタルは形状記憶性を持たせながら曲げる事が出来るのです。
そしてとても柔軟です。
このゴムメタルを最初から歯科医師が屈曲して装着し、前歯の上下同志に輪ゴムをかけて押さえておく(顎間ゴム)と傾斜している奥歯を立てる事が出来るのです。
私はこの方法を「立体レベリング」と呼んでいます。 ただし、顎間ゴムをかけておかないと却って前歯を突出させてしまう事は言うまでもありません。


なぜ立体レベリングが良いかというと、多くの方の奥歯はやや前方に傾斜しているからです。
これを意図的に矯正の最初の段階で引き起こす方法を専門的には「正直(セイチョク)」と呼びます。もしも15度傾いた根の長さが16ミリの歯をゼロ度まで正直させるとその歯の前方には4.2ミリものスペースが出来ます。

4.2ミリというスペースは小臼歯1本分に相当します。ゴムメタルは正しく使うとこのスペースを使えるので、小臼歯の抜歯をしなくても済む場合が多くなります。
また、スペースとは別に上下の顎がどのように咬み合うかの問題があります。
綺麗に上下が並んでいても下顎が前方にある受け口の咬み合わせであったり、下顎が後方に位置する様ないわゆる「出っ歯」で治療が終わっては矯正を行う意味がありません。
現在一般的に行われている矯正治療は、受け口なら下顎の小臼歯を出っ歯なら上顎の小臼歯を左右抜歯してスペースを作り、そこに歯を移動させて何とか辻褄が合わせます。
しかし、この様な方法を取らなくても治る事を示した偉大な歯科医師がいらっしゃいます。
神奈川歯科大学矯正学講座の元教授、佐藤貞夫先生です。
佐藤先生は、人間の成長の過程から顔面はどう変化するかを研究されて、その論理に基づく矯正治療方法を開発されました。
そして、その理論を基に更にゴムメタルと言う新素材を応用されたのが、佐藤先生のお弟子さんで岡山県で開業をされている白数明義先生です。
多くの矯正とどこが違うか?根本的に矯正に対する考え方が違うのです。
現代の一般的な矯正は、模型を上から眺めるだけで歯の動きを考えています。これは将棋盤に並んだ駒をどっちに動かすかを考えているのと同じで、動きが平面的なのです。
しかし白数先生の方法は立体的に歯を動かす、と言う理論に基づいた考え方です。
これは、傾いた歯を早い時期に正直させ、スペースを得るような方法です。
もっと簡単に言うと、歯の位置を変更する事で下顎の位置をある程度変える事が出来るのです。多くの歯科医師はそんな馬鹿なと思っています。私も以前はそうでした。
しかしここ4年、この「立体的な歯の移動」という考えに基づいて治療を行うと、今までは絶対に小臼歯を抜歯しなければ治らないと思えた症例が抜歯をしなくて済み、上下の咬み合わせを専門的な言葉で言う1級関係にする事が出来るのです。そのうえ、早く終わるのです。
以下の症例は、ゴムメタルとワイヤーで行った矯正です。


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